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アンカー 1
Cacti
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2021年10/1(金)〜10/10(日)

空気が澄んできた。遠近法が理解できた。

味覚の秋、食欲の・・・と昔から言われるけれど、この季節になると、すべての欲がオレもワタシもと、身体の外側に出てくるのではなかろうか。夏の間、上空から大きなフタ状のもので押さえつけられていた何かが、温度と湿度の絶妙なバランスが整い、春の啓蟄にも似た大人のカサブタがとれていくのが、この季節ではなかろうかと、空を嗅いでみる。

>> PM4 : 00   ガーデンテラス <<

空が対角線をつくっている。

紙巻き煙草をやめてから、ほぼ9年間が経とうとしている。と、言っても酒が入ると調子が出てきて、貰いタバコをしていたのでニセ喫煙者かもしれないが。しかし、これだけは真実なんだけど、10月になると、決まって葉巻を燻らしたくなる。その欲求が半月ばかり続き、スーッと消えていく。おそらく、温度と湿度と、嗅覚が何かの作用をしているんだろうと、彼は言った。「その時、側に女の方がいらっしゃっても、できるだけ無口な方が好みだけどネ」と、流れる雲を追いながら、香りを流れにのせた。

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2021年10/11(月)〜10/20(水)

10月の微熱のある風景   【 ためらう 】

熟考するとか、考えあぐねているとかの語感が快く響く季節は他にない。三段跳びのステップの部分にあたったり、あうんの呼吸の「あ」と「ん」の間に相当するのが「ためらう」ではなかろうか。いずれにしろ、大きく踏み出す際、爆発寸前の瞬間の中の「一瞬の心の動き」とも言える。

>> 10月のとあるある日 <<

【 ためらう 】  あれこれ考えて迷う。決心がつかずにぐずぐずする。

演劇の演出をしている友人がいる。役者に演じてもらう際、「ためらう」演技ほど、難しいものはないと言う。考えてみてほしい。もしあなたが、その役者の立場になってみた時、想定通りの画一的な演技しかできないはずだ・・・と、彼は言う。一瞬の間に、これまで経験してきたことのすべてを投げ込み、立ち止まり、次の瞬間には行動に移す・・・。私もその瞬間、立ち往生してしまうこと、うけあいだと、同感した。

男のためらうは、攻撃をする際の一瞬の迷いに、よく現れて来て、( 男は気弱だからネ )

女のためらうは、防御をする際の ( イヤヨヤメテヨのこと )に、これ位の演技でいいのかの行動として現れる。

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2021年10/21(木)〜10/30(土)

振り向けば、そこに物語の片鱗。

秋も深まってきました。ホテルの内外でも、それぞれの物語が紡がれているようです。一年の内でも、最も出逢いの機会が多くなり、自然の中の色彩の変化に負けないくらいの、ときめきが生まれたり、ドラマが始まってみたり、何かが産まれたり。「すべてのことは、出逢いからはじまる」と言われます。思いっきり、秋を享受したいものです。

>> PM7 : 00 バー <<

出会った途端に、勝負は決まるのか。

❝ ワインにしろ、ウイスキーにしろ、瓶口から酒が注がれる時のポクポクッという音が、なんとも言えずに好きだ。これから二人の距離を縮めるためのゴングの音なのかもしれない。ボクシングで言えば、3分間の戦いの後の1分間のインターバル、作戦を立て直し、態勢を整える。それを、シャカリキになり、何かを発しないと遅れをとるかの如く、バリケードを張ってみたり、つまらないジョークみたいなものを、若い方々は出し気味ではなかろうか。「さて、どこからでも、どうぞ・・・」と、言ってみて欲しいナ〜。この頃。

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