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アンカー 1
Cacti
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2023年3月1日(水)~3月10日(金)

何かが始まる予感がします。

ついこの間、卯年が始まったと思っていたのに、跳ねるように冬が去り、春の足音がすぐそこまで、やってきたようです。ホテルのロビーにも、行き交う足音が軽やかに響き、交わされる会話も弾んでいます。スプリングコートは何色ですか?

>> PM10 : 00   バー <<

小さな出逢いから、春が始まる。

ある一時期、ブラッディ・マリーに凝っていた。と、言うより逃げ場所だったのかもしれない。連夜、飲まなければいけない時があり、ウオッカをほんの少々にしてもらい、トマトジュースで、我にかえっていた。名前の由来も面白く、血まみれメアリーとか、好きだったダンサーの名前らしいよとか、ヘミングウェイがね・・とか。そんなある夜、ストロベリーフィズで左隣の彼女がポイっと乗せてくれた早春のいちご。コショーの後から、春の甘さが追っかけてくる。寄り道で、つまずいてしまった夜も懐かしい。

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2023年3月11日(土)~ 3月20日(月)

3月の微熱のある風景 【  疑う 】

新しい未知の場へ一歩踏みだすために、疑うという行為はあるのかもしれない。だからなのかと、頷けるのは冬の間、蓑を被っていた疑いの芽が、春の予兆を前にして疼き始めるのも、そのせいかもしれないと思われてきた。

>> 3月のとあるある日 <<

【  疑う 】 本当かどうか怪しいと思う。不審に思う。

去来という言葉が、3月にはよく似合う。行く人がいるかと思えば、新しく来る人がいたり、卒業する人がいると、入学してくる人たちもいる。方向が違う出来事が、ほんの短い期間に起きるため、心の定め方がある一定のところにとどまらず、不安定になる。だから、昔から、3月はどうも苦手な月とも言える。

男の疑うは、未来を手に入れるために、取るべき最初の一歩。

女の疑うは、過去を清算するために取られる手段のひとつ。

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2023年3月21日(火)~ 3月31日(金)

たなびく霞が、夕暮れに届けてくれるもの。

マジックアワーという言葉。ホテルの撮影時、よく耳にする言葉です。太陽が地平線に沈んだ後の少しの時間、空は美しいグラデーションに染まります。冬が終わり、春に差しかかる頃、霞がかった空が夕暮れに染まります。枕草子で「秋は夕ぐれ」と謳われたお方、春こそ・・ではありませんか・・。

>> AM 8 : 00  庭園 <<

落ちたのか。翔びたったのか。予告もなく。

❝ 気高さ、荘厳が白木蓮の花言葉のようですが、私の場合は違う風景が立ちのぼってくるようだ。ある方から、この花が香る街路樹のことを知り、その時の季節の風、温度、雲の流れ、そして語られた内容から切なさが漂ってくる。街路灯に浮き上がるこの様に出会うと、視線が止まり、しばしの間、この鳥が翔びたつ様を見てみたいと歩を止める。花の命は短くての言葉どうり、開花から三日もたたず、気がつけば、静かに路傍に落ちているらしい。私は「切なさ」を、この白木蓮から学んだようだ。

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