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アンカー 1
Cacti
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2022年7/1(金)〜7/10(日)

色とりどりの夏が始まります。

梅雨明けには、もう少し時間が必要のようですが、日に日に日差しが、夏仕様に変わってきたようです。木々の緑も雨の養分を受け取り、夏本番に向け繁りを増しています。この時季、渡る風の心地よさに心をあずけるのも夏に向けたウォーミングアップのひとつです。夏の用意も着々と進んでいます。ホテルではいろいろな物語が動き始めました。

>> PM3 : 00    プールサイド <<

舞台には、初夏の風だけがそよいでいる。

庭園の最上段でシーズンの幕開けを待っているプール。梅雨明けの声が届いてくる頃、華奢なピンヒールのサンダルを脱ぎ、決まっていたようにデッキチェアーに。誰もいないプールサイドでは、初夏から真夏へと陽射しが演技の予行演習に忙しい。随分と昔、避暑地の出来事という映画があり、そのシーンを抜き出したような午後三時。私のサングラスを右手の中指で軽くひっかけ、もとから自分のために誂えたかのように、プールサイドは主人公に平伏した。白昼夢の午後。

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2022年 7/11(月)〜7/20(水)

7月の微熱のある風景【  あふれる  】

水面などが水平状態から表面張力を過ぎ、極点に達した後の制御できない状態を極力、際立たせるために、「あふれる」がありそうだ。水に意志があるとすれば、見せ場をつくるための演出効果を狙ったものかもしれない。

>> 7月のとあるある日 <<

【 あふれる 】水などがいっぱいになって外にこぼれる。

バーカウンターでの出来事。「シャルトリューズをくださいますか・・・」と。丁寧に差し出されたグラスを下から上に視線を移動された。潤んだ瞳が何か見えないものを捉えたようだ。・・・もう、止められない。

男のあふれるは、ダムが決壊し、濁流が流れ落ちる様。

女のあふれるは、涙腺が崩壊し、落ちこぼれる様が似合っている。・・・と、たまには、美しいことを想像するのも、優しさに溢れているように見えるだろうな〜と想像し、心が膨らんでくる。

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2022年7/21(木)〜7/31(日)

ふとした時に、無音・無風な刻がある。

梅雨明けの頃から夏の本体がやってくる、ある一時期、小さな季節の谷間が始まります。長い間の梅雨の湿りけから解放され、自然もヒトも、振り子の頂点から反対方向への方向転換の時かもしれません。ひとたび勢いがつけば、もう誰も止めることのできない季節が序走を始めるのも、この時季ならではの、風物詩です。

>> PM6 : 00    ガーデンテラス <<

それぞれの時間をもつ贅沢。

❝ 本を読むってことは、そのモノやコトやヒトの新しい何かに惚れなおす入り口になるのでは・・・という説に賛成です。夕暮れどき、林の方からは、蝉しぐれも聞こえ始めました。自分なりに機嫌のいい時間を持ちたいねということで、太陽が西の空を染める頃から、私たちだけの刻が始まります。彼女は?と眺めてみると、お気に入りの頁なのか、好きな言葉を見つけたのか、頁の右下を折り返して、二度、頷いた。そして斜め上を見上げ、連想の頁を開いたようだ。

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