top of page
アンカー 1
Cacti
01.JPG

2024年2月1日(木)~ 2月10日(土)

心の中を透かしてみるのも面白い。

年が明け、1月の喧騒や心の浮き足だった季節がいき、さてと、今年はどのように動こうかと心が鎮まるのが2月ではなかろうか。1月の末から2月10日頃までを寒中見舞いの時季と考えているので、あの方はお元気だろうかとか、アイツはどうしているかと想いを巡らすのも心が透けて自分も見えてくる。

>> PM 9 : 00    ゲストルーム <<

それぞれのモノに、それぞれの想い。

❝ ネックレスやブレスレットがやけに流行った時代がある。袖机の片隅にあれこれと静かに外気に触れることを待っているものがある。5月が近づけば鯉のぼりだよナと決めていたり、秋になるとタランチェラの毒蜘蛛もいいかとか、12月になると赤と緑が目にとびこんでくるので、その逆を狙って黒いスペードの襟飾りを出してみたり。そして2月、ブレスレットをもらったことがある。「あっちこっちと動かないで・・」と手錠をかけられた思い出がある。あの頃から艶という言葉を覚えた。❞

02.JPG

2024年2月11日(日)~ 2月20日(火)

ホテルの静けさが心地いい。

飛梅、あまり聞きなれないコトバかもしれませんが、あの菅原道真に由来することのようですね。やはりこの季節、ある程度お歳を召した方々には、ふと香りが遠い昔のことを連れてくるようです。空気の動きが止まったようなホテルのロビーでも何かを想いだされている方を、お見受けする季節です。

>> PM2 : 00    ティールーム <<

決まって想い出すことがある。

❝ この季節になると再会というコトバを想い出す。松尾和子さんの歌を誦じているわけではないが、もっと今風な懐かしさがこみあげてきた。朝の斜光から、そして人目を避けるためにサングラスの濃度を少し上げた。会話といえばなんの変わりもなく、通り過ぎた時間はすぐに今の時間に戻ってきた。遠くの方で梅の香りがし、過ぎた時間が一瞬にして溶けた。あの方にプレゼントした香水は、その当時おつきあいされていた方に、無残に捨てられたことも知った。❞

03.JPG

2024年2月21日(水)~ 2月29日(木)

静から動へ秒針が動いた。

ひな祭りがもうすぐやってきます。3月3日が来ると、この日から春が始まると自分勝手なカレンダーをつくっています。でもまだ2月。ホテルのロビーは大人のための待ち合わせの空気に染まっています。そして2月22日、猫の日なんですって。音もなく近づいてきて、いつの間にかいなくなる・・。

>> PM 2 : 00   ロビー <<

虚をつかれた時、バツの悪さも妙な味。

❝ このところ、もう少し美しく歩けないものだろうかと考えている。というより研究しているといっても良いのかと思う。あるホテルのロビーで待ち合わせをした。長いランウェイのような廊下の向こうにその方は現れた。まるで、スクリーンの中から抜けでて、きれいな歩き方でこちらに近づいてくる。私が待ち合わせている方ではない。しかし、あまりにも美しい歩き方なので見入ってしまった。仙骨をたて、帽子のツバを人差し指で上げながら「なんだ、ボルサリーノで来ると思ったから合わせてみたのに・・」と、猫のような瞳で挑発された。❞

04.JPG

2024年2月のとあるある日

2月の微熱のある風景【伏せる】

心の内を、そのまま表すのではなく、しばらくの間、醸造させる行為。発酵させ、熟成させたあとに、その心は醸し出される。

>> 2月のとあるある日 <<

【 伏せる 】 下向きに動かして低める。胸の奥にしまう。

❝ 何かを伝えたかったのだろうとお見受けした。二言三言、そんなに長くない会話の後、その方はそっと目を伏せられた。目の前で始まったドラマは動きを止めたが、実際にはどんなやりとりが起きているのかがわからないまま、私の心は、その方の視線の先は何を捉えようとしているのかに引きこまれた。

男の伏せるは、発酵ののち、どぶろくを濾され、清酒のキレが生まれる。

女の伏せるは、熟成ののち、香りたつから匂いたつに変わる。❞

bottom of page