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アンカー 1
Cacti
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2023年6月1日(木)~6月10日(土)

雨の予報、スケジュール帳に逃げ込む。

5月が終わり、7月が輝きを迎える前の6月、これは心の谷間ではなかろうか。と言っても、落ち込むとかの気分ではなく、耳栓をして、水の中に佇んでいるような、一人悦楽の時間とも言える。贅沢な、そして自分勝手が許される季節とも言えそうだ。

>> AM10 : 00     ラウンジ <<

湿度が感覚を、なごませる。

6月10日、入梅の時期がやってくる。湿度が身体と心のバランスを天秤にかけてくれるのか、これまでの6ヶ月を振り返ってみたくなる。ほとんどのお方は紫陽花を見ることで、しっとりとした四季を感じるようだが、あの方の独特の感覚では、気持ちが疼くのがこの時期らしい。初夏が連れてきた気だるさが生ぬるい風と湿度でシェイクされ、衣替えになぞらえて、自分の心まで脱ぎ捨てたくなるという。特にアンスリウムの色づく頃は、触感が疼き雨の日なんかは自分の周りにヴェールを下ろす時間が楽しみのひとつ。これも性なのか。

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2023年6月11日(日)~6月20日(火)

6月の微熱のある風景【 誘う 】

ふとしたはずみに、目の前の何かが琴線に触れたとする。ほとんどの場合は、「・・でもな~」と、次の行為を打ち消すが、梅雨のこの時期だけは いつもと違う。おそらく、湿度のせいで、「・・してもいいのよ光線」がぬめっているはずだから。生き物だから、自然の摂理には逆らえないに違いない。

>> 6月のとあるある日 <<

【誘う】一緒に行動するようにすすめる。

促す。引き入れる。

男と女ができるだけ近づくための、まずは最初に行う行為のひとつではなかろうか。6月の誘うは一年のうちで最上級の位置においても過言ではない、その行為のためにすべてが揃った季節のように思われる。温度と湿度が混ざり合い、フェロモンが発酵される。

男の誘うは、「誘ってもいいかい?」と動作で示す。

女の誘うは、「誘ってもいいのよ」と目で促す。

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2023年6月21日(水)~6月30日(金)

雨がつれてくる匂い、どこかミスティー。

夏至を過ぎる頃になると、雨あがりの午後が似合います。太陽光が水滴に反射して屈折が起き、太陽とは反対側の空に虹が現れます。葉脈を伝わる水滴ひとつひとつにドラマがあり、真夏に向けてのプロローグの始まりです。 

>> PM 3 : 00     ガーデンテラス <<

その一滴で立ち昇るのは・・。

❝ 匂いは瞬時にして、あの頃をつれてくる。すれ違いざま、一瞬で時間が逆行し、その人は知っている限りの中では、一番美しいと思われる足首を見せながら数歩、進んだあと、こちらに振り向いた。待ち合わせの時間にはまだ数分早いが、すでに匂いが私の脳に棲みついた。外から見れば、初夏の日差しが木陰をつくり、木漏れ日が爽やかな刻をつくる午後の1日にすぎないはずなのに、私の脳内では、白日夢が立ち上り始めた。「あなたの匂いを纏ってきたけど、何か?」と、イタズラっぽい視線を投げかけられた。

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