
2024年3月1日(金)~3月10日(日)
さまざまな光が差し込んでくる。
季節もゆるみはじめ、光の温度も輝きをます頃になると、「3月いっぱいで、〇〇を去ることになりました」とか、「訳あって4月からは・・」とかの会話が聞こえてくる時季になりました。群れることは避けたい気持ちは強いのですが、なんとなく、やるせない季節が始まりました。
>> PM 9 : 00 ゲストルーム <<
新しいことよりも、昔のことが去来する。
❝ 桜前線とともに北上します・・と、お世話になりっぱなしの先輩から葉書をいただいた。ずっと昔の話。その時、なんの脈略かさだかではないが、ある方のことを想い出した。3月といえば、新緑もチラチラと芽生えはじめ、何か新しいことが始まる予感もするにはするが、どうも一年のうちで一番苦手な月ではなかろうか。「私の旅立ちの時だから、百万粒の泡を眺めながらの夜もいいかと思って・・」と、きりだされた日を想い出した。なぜ、3月は別れが似合うのだろうか。❞

2024年3月11日(月)~3月20日(水)
自分の気分より、季節が早く駆けていく。
新しい朝が来るごとに、街が明るく輝きをます季節です。つい一週間前までは、外気にオドオドしていた木の芽なども、今日、見れば、いっぱしの葉の体をなし、季節の到来を謳歌しています。春の助走は駆け足です。季節に追い越されないように、気をつけたいものですね。
>> PM 3 : 00 ガーデンテラス <<
だから、この季節が不得手なのだろうか。
❝ 転勤であったり、卒業であったりと、その人の心に寄り添うと複雑な感情が湧いてくる。通常ならば、励ましの言葉をひとつや二つ見つくろい、別の歩き方をしようとしている仲間に惜別の情を伝えてもいいようなものの、どうにもならない時がある。歳を重ねるごとに、先の先までも見えてしまう技が身につくのか、軽い言葉も発したくなくなる。それでつい、サングラスの濃度を変えれば見たくないこの先に、フィルターをかけるつもりなのか、ガラスの色を変えてみたりする。❞

2024年3月21日(木)~3月31日(日)
春ですね。人々が動きはじめました。
約束をする。その時間に向けて自分から発光する温度を高めていく。舞台の袖からスポットライトが当たる場までの歩数を数える。場を支配するって、そこまでの心の昂り方だけなの・・と、ある方から教わりました。そして、約束時間の幕が開くと・・。
>> PM 8 : 00 バーカウンター <<
春には、思いがけないことが起こる。
❝ 「その頃のあの人は、この色が好きだったのよ」と、ほんの数分の会話の後、口紅を塗りなおされた。ホテルのカウンターでたわいもない話をした横顔の美しいお方。10分後にロビーで待ち合わせをなさっていると聞いた。「あの頃は、憎しみがあったけど今になってみると濃い時間だったなーと思えてきてね・・」と口角を上げられた。「よろしければ、それと同じものを奢らせてくださいますか?」と後ろ姿をお見せになった。「これから始まる再会のドラマを膨らませてくださったからね・・」と。ドラマを観ているようだった。❞

2024年3月のとあるある日
3月の微熱のある風景 【 まどろむ 】
すべて、あなたのことを認めますとか、心がとろけてきそうですを表すために「まどろむ」はありそうだ。微睡む、ま・ど・ろ・む・のどこにも心を閉ざしたところが見受けられず、開け放たれた心が見える。
>> 3月のとあるある日 <<
【 まどろむ 】とろとろと眠る。軽くうとうとと眠る。
❝ 3月。ホテルのガーデンテラスにも柔らかい光に包まれる時間が生まれてきます。午後のほんのひととき、光のヴェールになぶられるように一人の女性がほんの数秒間、幸せを感じられたような時間でした。いいシーンでした。
男のまどろむは、ねころんでいる空に、クジラが泳いできて、通りすぎた。
女のまどろむは、のぞきこんでいた手鏡に、水滴が落ち、波紋が生まれた。❞